会社を受け継ぐというのは、建物や看板を受け取ることではありません。そこで働いてきた人たちの時間と、お客様やメーカーとの信頼を、まるごと預かるということだと思っています。
42期という数字を前にすると、正直、身の引き締まる思いがします。この会社をつくったのは私ではありません。守ってきてくれた人たちがいて、選んでくださったお客様がいて、信頼してくださった取引先がいて、いまがあります。
変えないものと、変えるもの
だからこそ、私がやるべきことははっきりしています。受け継いだものの価値を見極め、守るべきものは守り、変えるべきものは変える。
変えないのは、「いいものを、自分の目で確かめてから届ける」という商いの根っこと、得意先とも仕入先とも対等に向き合う姿勢です。42期のあいだ選ばれ、信頼していただいてきた理由を、これからも手放しません。
変えていくのは、その届け方です。売り方の仕組み、使う技術、向き合う市場。世の中が変わり続けるなかで、同じやり方のままでは、守りたいものすら守れなくなります。変えないために、変えていく——矛盾のようですが、これが私の考える継承のかたちです。
小さく、正直に
派手な宣言をするつもりはありません。「まず、ここから変える」。その小さな積み重ねを、うまくいったことも、まだ難しいことも含めて、この場所で正直に記録していきます。
歴史ある会社の、いちばん新しい章を、これから書いていきます。
